トップページへ      過去の椋川のページへ     暮らしのページへ

麻の「苧(お)こぎ」(2006年8月27日)


苧こぎ風景の 動画1 (10.4Mb)  動画2 (7.9Mb)

 「苧こぎ」とは灰汁でゆでた麻皮を川の水の中でしごいて渋皮を取り除き、さらに流れを利用して繊維をまっすぐ揃えていく作業のことです。ここで採れた繊維を紡いで縒りをかけ麻糸にするのです。
 以前は麻はどこにでも栽培され、繊維を取って衣服、草履の鼻緒、また神社・寺の祭祀に無くてはならないものでした。その麻も覚醒作用があるということで戦後、栽培が禁じられました。したがって今回使った麻皮も栽培禁止になる以前に、蒸した麻から剥いだ皮を乾燥させておいたものです。
栽培禁止後は麻から糸を取ることもほとんどされなくなりました。今回、苧かきを再現したのですが、七十になるおばさんたち皆が苧かきの経験は「十代の頃したのが最後」とおっしゃっていました。つまり今回の苧こぎは五十数年ぶりになります。
@麻を灰汁で茹でるのに大量の木灰が必要になります。改めて思うのですが、山で伐ってきた木は燃やしてしまっても使い道があるんですよね。究極の「無駄のない暮らし」を昔の人は当たり前にしていたわけです。
A麻皮は2,3束ずつまとめてワラ縄でくくって炊きます。このゆで汁、良い香りがするんです。この色もどこかで見覚えありませんか?(答えは下の方にあるよ)
下はゆで加減を見るイチヨモンのばぁちゃん。上は今回も準備に走り回った久太郎さんです。
B左下が苧をかく道具の「こきばさみ」。シノビササとツヅラフジから作られています。使う人の指の大きさに合わせて、完全オーダーメイド。
渋皮は手でもかけるのですが、量をたくさんしようと思うとやはりこういう道具を使います。また最後の仕上げに、繊維を整えるときにも薄くひろげるのに「かきばさみ」が無くてはなりません。
C「苧こぎ」には水の流れが重要です。まっすぐな流れでないと、せっかくかいた苧が絡まってしまうのです。だからあらかじめ川の流れをまっすぐにしておく必要があるのです。久太郎さんはこの作業も丸1日かけて一人でやっておられました。本当にありがとうございました。
Dいよいよ「苧こぎ」のはじまり。こきばさみを右手の親指と中指に沿わせるようにはさみ、苧をしごいていきます。
ところが今回はしごいても余り白くなりませんでした。五十年以上も乾燥させておいていたので、皮の色素が染みついてしまったようです。
E黒田研究室の山形さんも、靴ごと足を皮につっこんで苧をかいていました。
川の水の中でする仕事だけに、昔も暑い時期(8月終わり〜9月始め頃)にしていました。
F渋皮がとれて白くなった苧は、川の流れとかきばさみで薄く、平べったく伸ばされ板の上に並べられます。
その後たたんで水を搾った後、ひもに吊されて乾燥します。
白くならなかったので、干した苧がなんだか美味しそうに見えました。
南蛮をほおばりながら、ちょっと一服。
苧かきでは必ず火を使うので、昔もいろいろ焼いて一息ついていたようです。
イチヨモンとヘイザのばぁが川辺でおしゃべり。どんなことを話しているのかなぁ。川縁には何が見えるのかなぁ。
ところでAの答えは「トチ餅」でした。灰汁と麻の渋皮の反応したにおいが、トチのそれと同じなんですね。